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アメリカのティラーソン国務長官とロシアのラブロフ外相は12日、モスクワでアメリカがロシアの支援するシリアのアサド政権の軍事施設に対してミサイル攻撃を実施したあと初めてとなる会談に臨みました。

ティラーソン長官は、外相会談に続いてクレムリンプーチン大統領とも2時間余りにわたって会談を行いました。

このあと両外相は共同会見を行い、アメリカ軍によるシリアのアサド政権への攻撃をめぐって、ティラーソン長官は「アサド政権が化学兵器を使用した根拠がある」と述べ、攻撃の正当性を改めて主張したのに対し、ラブロフ外相は「確信に満ちた言葉ではなく、実際に存在する証拠を示してほしい」と述べ、OPCW=化学兵器禁止機関による中立的な立場で綿密な調査が不可欠だとの考えを強調しました。

またシリアの内戦終結後のアサド大統領の役割をめぐって、ティラーソン長官は「アサド一族による統治は終わりに来ている。ロシアがアサドにそれを自覚させる役割があるという意見を伝えた」と述べたのに対して、ラブロフ外相はイラクリビアを例に挙げながら、「独裁者が倒されたあとにうまくいったケースを覚えていない」と述べ、アサド大統領を排除しただけでは新しい体制に移行できないと主張し、立場の違いは埋まりませんでした。

一方、冷戦後最悪と言われるほど悪化した米ロ関係について、ティラーソン長官は「低い水準にある」との認識を示し、双方は、外交当局による作業グループを設置することを決め、関係の改善に取り組む必要性では一致しました。

アメリカ軍によるシリアのアサド政権への攻撃を受けて、ロシア国防省は、シリアでアメリカ軍と偶発的な衝突を防ぐための連絡窓口の運用を停止していましたが、ラブロフ外相は、ロシア側に運用を再開する用意があることを明らかにしました。

ラブロフ外相は12日、アメリカのティラーソン国務長官との共同会見のなかで、「プーチン大統領は、アメリカ軍による空爆が過激派組織IS=イスラミックステートなどのテロ組織を対象にする場合、連絡窓口の運用を再開する用意があることを確認した」と述べました。

ロシアは、アメリカ軍によるアサド政権の攻撃を「違法だ」として非難する一方で、就任後初めてロシアを訪れたティラーソン長官に対し、シリアでのISとの戦いでは、アメリカのトランプ政権と協力していく姿勢を示す狙いがあったと見られます。

アメリカのティラーソン国務長官は、プーチン大統領とも会談を行ったことを受け、一連の会談について「生産的だった」と述べました。

しかし会談では、シリアの安定が重要だという認識で一致したものの、化学兵器の使用、アサド大統領の処遇で意見の隔たりは埋まらず、ロシアにアサド政権との関係を見直させることはできませんでした。アメリカは引き続きロシアに対し、アサド政権との関係を見直すよう対応を迫っていくと見られます。

その一方、ロシアとの関係については、ウクライナ情勢をめぐる制裁などを維持しつつも、冷戦終結後、最悪と言われる関係を脱する模索を進める方針を示しました。

アメリカとしては、ロシアと慎重に対話を進めながら、信頼関係を築けるかどうか、見極めていくものと見られます。

会談後の記者会見でラブロフ外相は「しっかりとした率直な会談だった」と述べ、冷戦後最悪とも言われる米ロ関係から脱するための一歩だったと前向きに評価しています。

また米ロ関係を悪化させたのはオバマ前政権だと指摘する一方、トランプ政権によるシリアへの軍事攻撃について厳しい批判は控え、関係改善への機運を損ねたくないという思いをうかがわせました。

プーチン大統領も2時間にわたってティラーソン長官と会談し、トランプ政権と立場の違いを乗り越え、しっかり対話していく姿勢を示しました。

ロシアは、シリアでの権益を維持しながら、シリア問題の解決に向けてトランプ政権からの協力を引き出したいという思惑があり、今後アサド政権の退陣を求める欧米からの要求には反対の立場を貫きながら、過激派組織ISなどテロ対策での協力を訴えていくものと見られます。

アメリカのティラーソン国務長官は、ロシアのラブロフ外相との会談後の共同会見で、核・ミサイル開発を進める北朝鮮による脅威についても意見を交わしたことを明らかにしたうえで、「北朝鮮の体制が方針を転換するよう、ロシアが建設的な役割を果たすことについて協議した」と述べ、北朝鮮にパイプを持つロシアに対し、北朝鮮への圧力強化に協力するよう求めたことを示唆しました。

一方、ラブロフ外相は「この問題は、ひたすら平和的な手段で解決することを目指し、結束していく必要がある」と述べて、政治的、外交的な解決を目指すべきだと主張し、北朝鮮に圧力を強めるだけでは、問題の解決につながらないとしてアメリカをけん制しました。

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