シリア化学兵器問題の国連安保理決議案 ロシアが拒否権 #nhk_news https://t.co/ZBorvPlYOV
— NHKニュース (@nhk_news) 2017年4月12日
シリア北西部で今月4日、多数の死傷者が出て、化学兵器が使用されたと見られている問題で、国連の安保理では、日本時間の13日未明、対応を協議する会合が開かれました。
議長を務めるアメリカはイギリス、フランスとともに化学兵器の使用を非難し、アサド政権に真相究明に向けた調査への協力を求める決議案を提出しました。
この決議案は、シリアのアサド政権を支えるロシアの主張に沿って文言が修正されたものでしたが、採決にかけられた結果、欧米諸国や日本など10か国が賛成する一方、ロシアが拒否権を行使したため、採択されませんでした。
中国を含む3か国は棄権しました。イギリスのライクロフト国連大使は、猛毒の神経ガス、サリンが使われた可能性が高いと指摘したうえで、「ロシアはアサド政権をかばうために8度も拒否権を行使した」と非難しました。
一方、ロシアのサフロンコフ国連次席大使は「公正で独立した調査が必要だ。イギリスはロシアやシリアを侮辱するべきではない」と述べて反論し、欧米とロシアが真っ向から対立する構図が改めて浮き彫りになりました。
採決が行われたのは、アメリカのティラーソン国務長官がロシアの首都モスクワを訪問し、プーチン大統領やラブロフ外相と会談を行った直後のことでした。
会合で議長を務めるアメリカのヘイリー国連大使は、シリアのジャハリ国連大使に向かって、「あなたの言い分にはもう誰も耳を傾けない。きょうの採決結果を注意深く見るといい。この警告に注意を払うべきだ」と述べて、採決で反対したのは15か国のうち2か国にとどまり、常任理事国のロシアさえ拒否権を行使しなければ決議は採択されていたという認識を示しました。
シリア情勢をめぐり、中国はこれまで、ロシアと歩調をあわせる形で、欧米が提出してきた決議案にたびたび拒否権を行使してきました。
今回、採決を棄権したことについて、中国の劉国連大使は会合で「まだ修正されるべき点はある」と述べるにとどめました。
また会合後、記者団に「今回はもう少しで全会一致になるところだった。この決議は全会一致で採択されるべきだったが、あと一歩努力が足りなかった」と述べて、ロシアとアメリカの両国への配慮に努めたものと受け止められています。
米ロ シリアめぐり溝埋まらず 関係改善では一致 #nhk_news https://t.co/tB4m8M2wiE
— NHKニュース (@nhk_news) 2017年4月13日
シリア情勢をめぐり、中国はこれまでロシアと歩調を合わせる形で、欧米が提出してきた決議案にたびたび拒否権を行使してきました。ところが今回は一転して棄権に回りました。
拒否権を持つ常任理事国が棄権するのは、事実上採択を容認する意思表示とも受け止められていて、中国の劉国連大使は会合で「安保理はこの問題で連帯し、一つの声を上げなければならない」と述べました。
さらに劉大使は、記者団に「今回はもう少しで全会一致になるところだった。この決議は全会一致で採択されるべきだったが、あと一歩努力が足りなかった」と述べ、中国が決議の採択に向けて外交努力を重ねたと強調しました。
一方で、採決を棄権した理由について、劉大使は「まだ修正されるべき点はある」と述べるにとどまり、具体的な説明はありませんでした。
ただ、中国は、習近平国家主席が、採決に先立つ12日午前、アメリカのトランプ大統領と電話で会談し、中国外務省によりますと、習主席はシリア情勢について「国連の安保理が一致したメッセージを打ち出すことを望む」と述べたとしています。
アメリカのヘイリー国連大使は、採決のあと、「きょうの採決は転換点になったかもしれない」と述べて、決議案への支持が広がったことを評価しました。
国連外交筋からは、中国はアメリカに配慮する必要に迫られるとともに、決議案には修正すべき点があるとくぎを刺して、ロシアにも一定の配慮を示すために、棄権を選択したのではないかという見方が出ています。
中国外相「米ロは協議を強化し衝突や対立回避を」 #nhk_news https://t.co/oN8T4x0aoj
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王毅外相は、13日に北京で行った記者会見で、シリア情勢について、「われわれは、国連安全保障理事会でこの問題を討論するときには、皆が協議で一致すべきだという主張だ」と述べて、アメリカなどが提出した、化学兵器の使用を非難する決議案の採決で棄権に回った理由を説明しました。
そのうえで、王外相は「アメリカとロシアの間で意思疎通と協議を強化し、衝突と対立を避けるよう求める。シリア問題は政治的解決こそが唯一の正しい道だ」と述べて、米ロ双方に自制を求めました。
シリアで化学兵器が使われたことについて、中国外務省は「国連の機関が独立した立場で調査を行うべきだ」として、「アサド政権が使用したという証拠を示すべきだ」とするロシアを理解する姿勢を示しています。
一方、習近平国家主席は12日にトランプ大統領と電話会談を行った際、アメリカを批判することは避け、「国連安保理が一致したメッセージを打ち出すことを望む」と述べるにとどめており、王外相の発言からは、米ロ双方との関係を維持したいという思惑がうかがえます。